日本は AI の世界で生き残れるか?
中国のネット3大企業 「BAT」(Baidu: 百度、Alibaba、Tencent)の 1 社である百度は、最近 AI に注力している。
それは競合である Alibaba、Tencent に差をつけられている背景もある。 オンラインショッピングで強い Alibaba、チャットアプリ及び決済で強い Tencent と比べ、百度はウェブ検索にとどまっている印象がある。それを AI 分野で挽回を狙っているようだ。
その百度のAIに関するニュースがあった。百度が AI に子供の顔が大人になるかというパターンを学ばせることにより、子供のころに誘拐された人の子供のころの写真と、大人になった人の写真から誘拐された人の写真を絞り込み、特定することに成功したというニュースである。
中国で子供の誘拐は多く社会問題の一つになっている。AI 技術の開発とともに社会問題の解決につなげるということであろう。
このニュースで気づいたことは、2 億枚の写真を中国政府が提供しているということである。その写真を元に AI に学習させ、今回の結果につながっている。
私の認識が不足かもしれないが、AI の時代に強いのは、データを持っている物だ。
まず、人工知能のアルゴリズムは誰でも手に入るコモディディだ。
次に関係するハードウェア(例えば半導体やセンサー)もある程度差別化ができるかもしれないが、何社かサプライヤーがいればあまり差がつかず、価格競争に陥るようなものではないか。
一方、データ量が AI の精度に直接つながってくる重要な要素である(例えば 2億枚と200万枚の写真では AI が子供を見つける精度はずいぶん違ったはず)であると同時に、データは独占的だ。同じデータを複数の会社が持っていることはあまりないと思う。
よって AI の世界で競争が起きるとするならば、それは主にデータの確保を巡ってのデータとなるのではないかと思う。
そのような時に中国の競争力が非常に強い可能性がある。
そもそも国内のデータ量が多い。13 億人のデータがある。
また、政府の権限が強く、またビジネスに協力的である。今回のようなデータ提供を日本や他の国で行うとしたらどれだけ時間がかかるだろうか。
それ以外にも、当然米国も強いだろう。(中国を除く)グローバルな影響力を生かした規模のある事業を行っている IT 企業は多い(Google, Facebook, Amazon 等)今後も新しい同様な企業が出てくるだろう。
単純にいけば、AI の世界では、(すでにウェブ・IT の世界ではそうなっているかもしれないが)グローバルをカバーすることによるデータ量を確保した米国企業と、国内市場の規模と政府の支援によるデータ量を確保した中国企業の寡占状況になることが予想される。
今後 AI がより重要性を増すと言われる。これは、考え方によれば、日本のポジションがより低下することとも考えられる。
このような中で、日本が AI 業界でどのように生き残り、存在感を作っていくべきだろうか?
単純なボリュームを狙っても難しいので、あり得る方向としては、ニッチな領域に絞って世界一のデータ量を確保するようにしていく、その積み重ね狙うということではないだろうか。製造分野等の B2B 関係の特定のデータでは日本の AI 企業が世界で一番のデータを持っている。そういうことなら可能性はあるようにも思える。
すあま