「租購同権」政策は、中国住宅価格低下の引き金をついに引くだろうか?

 

中国の住宅価格の高騰は昔から指摘されている。バブルが起きているといわれて久しい。

 

特に上海・北京・深圳・広州等の大都市では特に高く、マンションの価格が日本円にして 100万円/㎡ になることも珍しくない。

 

以前に比べて所得が高くなったといっても、平均的にはまだ日本よりも少ない所得の中国の都市住民は、多額の借金をしてマンションを購入している。

 

他国に比べても極めて高い住宅価格を見て、そろそろ中国の住宅バブルがはじけるといわれ続けている。しかし、何年もたっても価格は下がるどころか上がっている。

 

一方で、住宅の購入価格は高い一方で、賃貸の場合にはそれほどでもない。賃貸料と購入額のギャップは大きく空いている。

 

このような現象はなぜで発生しているのだろうか? 

 

一つの答えば、中国の不動産購入額には、「子供の教育料」が含まれているということだ。

現在の規定では、その都市に住居を持っていないと子供はその都市で就学ができない。例えば上海の一流の学校に子供を通わせたい場合には、上海にマンションを購入している必要がある。賃貸ではだめなのだ。

 

子供の教育に特に熱心とされる中国人は、無理をしてお金をたくさんはらっても、少しでもいい教育を受けさせようと、マンションを買っている。

これが中国の不動産価格を支えている一つの要因である。

 

 

 

 

最近、この要因に影響を与えるようなニュースがあった。

 

中国南部の大都市の一つ、広州市が「租購同権」政策を導入すると、7月17日に発表した。この施策の要旨は、住居を借りている人(「租」)と、購入している人(「購」)で、就学等に関して、同じ権利を与えようというものだ。

これは他の都市に先駆けて広州市が取り組んでいる政策だ。

 

https://xw.qq.com/FIN/20170719024569/FIN2017071902456907

 

 

もしこれが完全に実行された場合、子供の教育の為に無理してマンションを購入する必要はなくなる。少なくない人が、マンションを購入するのを止め、手ごろな賃貸にシフトするだろう。

その結果、住宅価格の大きな下落が起きる可能性がある。

また、もしこの施策が他の大都市にまで広がった場合には影響はかなり大きいものになる可能性もある。

 

もちろん、まだこの「租購同権」政策の実際の適用の範囲は限られているようであり、また住宅価格の急下降があるようであれば政府の介入もあるだろうから、すぐに大きな変化が起きるとは考えにくい。

但し、大きな方向性としては、中国の住宅価格はついに下がる方向に変化しつつある可能性がある。

 

 

すあま

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