コンテナ が グローバリゼーションの仕掛け人か

 

コンテナ。

 

 

 

あまり普段の生活では意識することはない。 

 

荷物を運ぶときに使われる、鉄やアルミでできた、同じ形をした大きな箱である。

1965年に初めて使われ、今は世界中で荷物を運ぶのに欠かせない箱である。

 

コンテナは、「コンテナ船」と呼ばれる船に載せられて、世界の港から港を移動する。

一つ一つの箱の中には、服やらおもちゃやら、家電やら、車の部品やら、色々な荷物が載せられ、世界を旅する。

 

 

 

「コンテナ港」と呼ばれる大型の港では、自動化された大きなクレーンが待ち構えており、次から次へとコンテナを下す。

 

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そして、これらのコンテナは、トラックに載せられて、津々浦々へと運ばれるのだ。

 

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今や物流の中で欠かせないながら、あまり注目されることのない地味な箱。このコンテナの歴史にスポットライトを当てたのが、書籍『コンテナ物語』(原題: The BOX)を書いたエコノミストのマルク・レビンソン氏である。

 

そして、彼がこの本で書いている主張は興味深い。

 

世界中を物が行きかう『グローバリゼーション』は、このコンテナの発明によって成し遂げられたということである。

 

コンテナが発明される前までは、荷物の輸送は、袋や箱等のいろいろな入れ物で、それも色々な形で行われていた。

そのような状況で、港での荷物の積み下ろしは多くの港湾労働者によって行われていた。これはとても時間と労力がかかる作業だった。また途中で荷物が盗まれたり、壊れたりすることは日常茶飯事だった。そういうことで海上輸送コストは安くなかった。そして輸送コストのかなりの部分をこの荷物の積み下ろしが占めていた。

 

同じ形のコンテナの発明によって、荷物の積み下ろしは機械化(大型クレーンやリフトの利用)・自動化が出来るようになり、輸送コストは大幅に低下した。

そのことで、遠く離れた地域(例えばアジア→アメリカ)からも安く物を持ってこられるようになった。「サプライチェーン」という言葉が生まれ、世界中で一番安い地域から物を買ってくるという考え方が当たり前のようになってきた。

低コストを強みとして後進国はアメリカ等の先進国に輸出を行い、新興国として発展をした。一方で、消費者に近いことで胡坐をかいていた高コストの先進国企業は衰退した。

そして、モノが世界を行きかう「グローバリゼーション」の時代がやってきたというのだ。

 

地味な一つの箱に焦点をあてて、大きな世界の変化を語る議論はとてもダイナミックだ。

 

またこのコンテナの事例は物流に携わっている人以外にも大きな示唆があると思う。コンテナが箱のサイズを規格化したように、何かを規格化するだけで大きな変化を起こすことが可能かもしれないということだ。例えば、インターネットはどうか。情報がかなり混みあっているが規格化することでどのような変化が可能になるだろうか。

 

 

ちなみに、最近は反グローバリゼーションの動きが、先進国を中心に強まっているようにも見える。これも、このコンテナがもたらした作用の一つなのだろう。

 

suama

 

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